水色。

うみのあり。

わたしはいとおしいひととせかいの目を盗んで深海の魔物たちを押しこんでいるプールの上の横からはけっして見えない上の四角で会う。このプールにいきついている深海獣は人びとにえらく恐れられているためにほとんどひとが近づくことはなくて世話人が朝と夕…

煎じるあめ。

わたしは黄色の電車をなにとはなしにいつもと違う駅でおりる。駅は大通りの架線のちょうど真下にあって下り方向のホームと改札がつながっている。とても小さい駅舎は三角形の屋根を被っていてその上に中心が屋根の天辺に二等分されるような白い鉄の棒で結ば…

まぶたのうら残る光景が。

(ひとつ)オレンジに染まった教室。淡い光の海のそこできれいとはいえない列に並べられた机の茶色はほとんど黒くみえる。少しでも酸素をもとめる溺れた魚のようにわたしはわたしの机のうえに腰をかけて水面をぼんやりとながめている。雪みたいにまっしろな…

みずいろはづき。

いつだって なにもかも 非日常。一年前のことだって、 一ヶ月前のことだって、 昨日のことだって、 今朝のことだって。なんだって覚えていないし、それは他人ごとだよ。初めてあったときの辿々しい敬語とか、 たまたまあったときの吃驚した顔だとか、 交わし…