2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

プラネタリウムノート

あいにくの雨の日だ。それなのにうっかり星空を見たくなってしまった。「プラネタリウム」一度、脳裏にその言葉が浮かんでしまったらそれがひどくすばらしい考えのように思えて、今この瞬間から動き出さないと後悔するような、そんな焦燥感にかられた。 どう…

手首

しらけちまったなぁと私はひとりごちる。金曜日の夜八時。なぜ私は部屋で独り、缶ビールを二缶開けているのだろう。ほんとう、しらけちゃうよなぁ。独りになってからひとりごちが増えた。だって話し相手いないから。仕方ないじゃない。とはいえどこか出掛け…

煎じるあめ。

わたしは黄色の電車をなにとはなしにいつもと違う駅でおりる。駅は大通りの架線のちょうど真下にあって下り方向のホームと改札がつながっている。とても小さい駅舎は三角形の屋根を被っていてその上に中心が屋根の天辺に二等分されるような白い鉄の棒で結ば…

ゆるふわ的断章

ゆるふわしたのは今日もいく。 生命体はぷわぷわ浮かぶ。 浮かんで街中を駆け巡る。 君が優雅にスプーンをまわすカフェの午後を、灰色に染まった校舎の中を、鮮やかな緑の林の隙間を、誰かが座った電車の座席を、光の影射す夕暮れの丘を、どこでも彼はぷわぷ…

それはもうどうしようもなかったと彼が言う。僕はどうしてと尋ねる。だってさ、彼女ったらいろんな物を俺めがけて放ってくるだぜ。たまったもんじゃないよ。仕舞には包丁を取り出して俺に突きつけるんだ。彼は反笑いでまくしたてるように言った。寝ていない…